Contents
【カンボジア豪雨洪水復興支援募金について】
こんにちは。国際協力NGO風の会です。
2020年10月12日にカンボジアで19万3000人以上の被災者を生んだ集中豪雨が発生し、風の会が支援しているバッタンバン州も甚大な被害を受けました。
そこで風の会では、復興支援募金を設置し、約1ヶ月で28名の方々から、総額22万円を集めることができました。ご協力くださった方々には、心より感謝申し上げます。皆様のおかげで、カンボジアの子供たちが洪水被害からより迅速に立ち直ることができます。
そして、長年風の会がお世話になっている通訳者のポアンさんに、11月17日~20日にかけてバッタンバンの各支援先を訪問し、いただいた資金をしっかり手渡しにてお届けして、ヒアリングを実施して頂きました。
今回復興支援金を渡した3つの小中学校と、1つの孤児院、教育省の豪雨洪水後の現状と、支援金の使用用途について、ご報告させていただきます。
支援先1:Peaceful Children Home Ⅱ(PCH2)
寄付金額:1360ドル
〈基本情報〉
- 2009年より支援開始
- 孤児院
- 子どもの人数:28人(大学生・大人8人、それ以下の子ども20人)
- 今後子供が増えることはない。理由
は、ユニセフの勧めにより2、3年前から孤児を親戚の元で生活するように推進しているからである。それまで孤児院として子どもの受け入れが可能であったが、現在はほとんどできない状態である。
〈現在までの様子〉
- 現在は、新型コロナウイルス感染拡大によりPCH2を応援してくれる人が少なく、お米・野菜・肉を自分たちで供給しなければいけない。
- 畑に洪水被害が残っているため、これからが不安。
〈今後のPCH2の方針〉
- 将来は学生寮にしたいと考えている。28人の子どもたちを大学に通わせた後に学生寮へと変えていく可能性がある。
〈洪水による被害〉
- 建物内がすべて水浸しに→2週間水が引かなかった
- 水の排除にポンプを使用し、その際ガソリン200リットルを使った
- 壁のペンキが剥がれた→自分たちで塗り直した
- 11月上旬時点でグラウンドの水は引いていない
- 最も被害の大きかった箇所は、大型のドーム状の建物(風の会がいつも交流プログラムを実施させていただくところ)
- 建物のいたるところに傷があり、水に長期間つかっていたため腐っている可能性あり
→安全ではないと判断し、子どもたちは夜間立ち入り禁止 - 洪水の影響で子どもたちの中には皮膚のかゆみが症状として現れる病気にかかってしまった子がいた(今は完治)
- 特に、トイレは使えない状態。トイレは、近くの村のトイレを借りに行っている
〈寄付金の使用用途〉
未定。決まり次第ご報告させていただきます。
支援先2:Happy Hug Rom Chek Primary School (通称ロムチェック小学校)
寄付金額:200ドル
<基本情報>
- 2009年に大和ハウス工業株式会社のご協力のもと開校された
- 建設以来、当会は小学校及びロムチェック村を継続的にサポートしてきた
- 過去には水不足により、遠くまで水をくみに行くために学校に遅刻欠席する生徒がいたが、当会がため池を支援した後そうした子どもはいなくなり、村人にも安全な水が供給できるようになった
- 生徒数:77人(女:33人、男44人)
- 先生数:5人(教育省:2人、契約:3人)
<現在までの様子>
- コロナウイルス感染拡大により、3月~8月は休校
- 休校期間は先生が学生の家に赴いて、少人数のグループにて家で授業を実施(カンボジアではオンライン授業はまだ普及していない)
<洪水による被害>
- 中心都市と村をつなぐ国道3号線道が通れない状態
- 学校内も洪水によって浸水し、グラウンドの土が不足している
<寄付金の使用用途>
- グラウンドを整備するための赤い土 (トラック2トン分)
→浸水でグラウンドの土がなくなってしまい、校庭がでこぼこで走り回る生徒たちにとって危険な状態であった。
支援先3:トゥルコキ中学校
寄付金額:200ドル
<基本情報>
- 教室の数が足りず、トゥルコキ小学校に通う生徒のうち約50%が中学校に進学できない状況であったため、2012年に大和ハウス工業株式会社のご協力のもと開校した
- 支援の撤退が可能とみられていたが、2020年夏に、入学した生徒の約半数が退学してしまっている現状が発覚した (ドロップアウト率:54.82% cf.バッタンバン州のドロップアウト率平均:19.9%)
→現在当会はPCM手法を用いて、ドロップアウト率の改善を目指している - 生徒数:418人(女:216人、男202人)
- 先生数:7人
- 文科省の決まりでは1クラス30人までであるが、1クラス50人程の生徒が在籍している。
- 授業は2部制(午前4クラス・午後3クラス)
- 教室数:5
<現在までの様子>
- コロナウイルス感染拡大の影響により、3月~8月まで休校
- 休校期間、先生は生徒の家(村)まで赴くことはせず、生徒は宿題を提出するために登校
- 9月より学校再開 (週2・3回の登校であり、依然として登校日数は制限されている)
- 11月に再びカンボジアがロックダウンし、先生によると、次回生徒に会うのは2021年1月になる予定
- かねてより教室数の不足に苦悩しており、職員室を教室として使用していた。しかし、2020年に校舎の前に職員室を建設した
<洪水の被害>
- 建物は通常通り使用可能
- 学校の周辺が洪水被害を受けており、道路が損壊
<今後の展望>
- 学校内に教師のための寮を建設中であり、現在、柱と屋根まで完成している。この寮が完成することで、毎日バッタンバン市内から毎日トゥルコキ中学校に通勤している3名の教師が、学校近くに泊まれるようになる。教師が寮を利用することにより、職員室として使っている小さな教室を生徒たちのために使うことが出来る。
<寄付金の使用用途>
- 学校の先生の家の建築費になる可能性がある。
決まり次第、ご報告させていただきます。
支援先4:コットム小学校
寄付金額:200ドル
<基本情報>
- 校舎の激しい劣化や教室不足、高いドロップアウト率など複数の問題を抱えており、2016年春、当会が新校舎を開校
- 生徒数:206人(女:95人、男:111人)
- 先生数:9人(教育省:7人、契約:2人)
- 1年生から6年生、各学年1クラスずつ
<現在までの様子>
- コロナウイルス感染拡大の影響で休校していたが、9月から再開。しかし依然として登校は週2回に制限されている
- ユニセフ団体から、バケツ・石鹸の衛生支援を受けた
- 支援金を手渡してくださった通訳者のポアンさんによると、コットム小学校は非常に貧しいが、村のコミュニティーと協力して一緒に頑張っている
<洪水の被害>
- 学校に洪水の直接的な被害はなかったが、通常時も荒れている学校の前の道は、いつも以上にがたがたになっていた。ぬかるみで通るのが難しい状況である。
<小学校運営面での進捗>
- ため池が完成。現在は雨期ということもあり、さっそくため池の効果が発揮された。
- 新校舎建設に着手。以前校舎の前に仮校舎が建てられ
ていたが、暴風雨による影響で損壊してしまっていた。その教訓から今回は頑丈な素材を用いて建設しており、完成間近
木材を売ったお金で新しい校舎を建設した。
この材木は24代代表(当時は学校プロジェクトのメンバー)の古賀大勢が2019年夏に現地へ渡航した際、校庭の真ん中に置かれているのを視認している。
そのときの監査によると、その木材は教育省からもらう年間予算で購入したとのことであったが、結局何にも使用されずに売られてしまっている。
また、風の会はハード面支援チームが校舎建設の支援を積極的に行なおうとしていたが、コンクリートでグラウンドが舗装されて遊具が建てられるという予定外の学校改築が進んでいたことがテレビ通話・現地の最新写真で発覚したため、一時支援を中断していた。
上記の点から、お金の管理に改善の余地がある学校である印象を抱く。
<支援金の使用用途>
- ポンプ:ため池は動物が侵入できないように壁があるため、水を使うためには、吸い上げるポンプが必要
支援先5:バッタンバン州の教育省
寄付金額:300ドル
<支援金の使用用途>
- 上記3校よりさらに貧しい、バッタンバン州の学校に送る。
詳細なレポートは、同省の長であるイ・ソンキさんが送って下さる予定。受け取り次第、すみやかにご報告させていただきます。
最後になりますが、改めまして、皆様のお力添えに心より御礼申し上げます。